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13独立戦隊の様に陽動を主任務とする部隊は10にも及び、
東亜地区にあった士官学校の同期生を中心とする
573機動戦隊もその一つであり、
サイド2方面にオンステージ中であった。

編成は強襲揚陸艦ヘスペロス、防空巡洋艦レジェンドウッド、レジェンドベルの3艦、
一年戦争の最中、政庁コロニーの破壊、G2ガスや核の攻撃で、サイド2は全滅と言われてはいたが、
実際は通信手段を遮断されただけで、生き残ってるコロニーが半分は存在していたのだ、
ジオン統治下に置かれたコロニーはその工場ブロックなどでモビルスーツの生産を行っており、
その目的の為の労働力確保が理由だが。
ルナUに帰還したウロボロス隊の情報によりジオンのMS工場の存在をキャッチした連邦軍は
オンステージ中の573戦隊とソロモンへの強行偵察任務を終えた、第10戦隊に攻略を命じた。

しかしジオンにすでに捕捉されていた573戦隊は先制攻撃をされることになった。

カタパルトデッキよりモニターにMS隊隊長の声が聞こえた。

「レイ、ジオンか?」

「そのようだな、新型だらけだ10機すべてアンノウンの表示だな。」
「10戦隊はあとどのくらいで合流する?」

ヘスペロスの艦長、レイ・イジュウイン少佐はオペレーターのミオ・キサラギ少尉に聞いた

「あと約一時間です」

ミオの声にシオリが苦渋に満ちた声を発する

「間に合わないわね」
「ヘスペロスのモビルスーツだけで行くぞ、、ヌシビト大尉!!」

レイはモニターのコウに向かって指示を出した。

「了解、」

すでにコウ・ヌシビト大尉とカツマ・セリザワ少尉、ジュン・エビスダニ少尉など、
TMM専科出身のメンバーはジムのコックピットで暖気運転を開始していた。

「アサヒナ少尉、コシキ少尉、準備はいいか?」
「もち、オーケー」
「だいじょうぶでございます。」
「ようし出るぞ!!」

コウ達第一陣はモビルスーツをカタパルトに運んだ。

「ケイ達は第二陣として待機。」
「了解」

ジムが発進の姿勢をとった。

「みんな!根性でがんばって!!」
「わかってるよ、サキちゃん!」

コウは通信オペレーターのサキ・ニジノ少尉に向かってウインクと輝く白い歯をみせた
・・・一瞬にして真っ赤になるサキ・・・

(もう・・・コウくんったら、照れちゃうじゃない・・・)

カウントダウンと共に射出されて行くMS。

5機のジムのノズル光を見ながら傍らにいるシオリ・フジサキ
大尉にレイは聞いた

「どう見る?フジサキ大尉、」
「・・・・(もう、コウったら・・・)」
「え?!」
「や、やはり噂のペズンは近くにある様ですね・・・。」

コウへのヤキモチで一瞬軍務を忘れていたシオリは焦ってうろたえた。

「提督の読みは当たったということか・・・」
「サキ、ベルからの直援を急ぎ展開させるんだ。」

「艦長、わかりました。レジェンドベル、MS隊展開を急いでください」

直援をメインとしてMSが配備されているヘスペリス級レジェンドベルはMSを発進させているが、
慣れていないパイロット達の展開は遅い。

加速をしながらコウはつぶやいた。

「ドムタイプ3ザクタイプ3あれは完全新型か、3機支援機1・・・ちょっと荷が重いか・・・」

特に命じていないのだが4機は2機づつペアで交戦を開始している。

「どうだ状況は?・・・やはり数がちがうからな・・・」

レイは隣りのシオリに聞いた。

「新型相手に5機でよくもってますね・・・」

(コウくんすごい、もう3機落としてる。)

「サオトメ中尉にも発進させるんだ、メンバーはカタギリ少尉、キヨカワ少尉、タテバヤシ少尉」
「了解、第二小隊、発進です!」
「あいよ!」

もともとコウは士官学校卒業直前に新たに開設されるTMM(タクティカルモビルマニュピレーター)講座に参加
するために卒業を半年遅らせたのだ、主席卒業という肩書きをシオリに譲ってまで。
それだけに操縦技術は並外れたものがある、

「さすがにジオンの新型、ザクとは全然違う、」

そうコウが呟いたとき、スピーカーに悲鳴が聞こえた。

「キャア!!」
「ユウコ!!」

ガルバルディと白兵戦を行っていたユウコの機体は右腕を失っていた。
その死角を狙ってガルバルディのビームサーベルがコックピットに肉薄する
やられる、そうユウコが思った時一機のジムが眼前に躍り出てユウコのジムを突き飛ばす。

「させない!!」

そのジムはガルバルディのビームサーベルをシールドで受けると至近距離からビームスプレーガンを発射した。
爆発、
そして至近距離の爆発と、ビームスプレーガンの誘爆によりボロボロになったジムがそこにいた。

「アサヒナ、だいじょうぶか?・・・あっちゃあ動かないぜこのジムは」
「ヨッシー・・・」

コウのジムが二人の前にカバーする

「ヨシオ、動けるか?」
「ダメだこりゃ、スマン増援にならなくて。」
「十分だよ、ユウコ、二人で艦に戻れるね?」
「うん・・・」
「じゃあコイツを引きずっていってくれるかい?」
「ん、わかった。」
「ユカリは俺のバックアップについてくれ」
「はい、わかりましたぁ〜」

シオリやサキ達が戦況を見守る中ミオの声がきこえた

「サオトメ機、アサヒナ機、損傷により帰還します。戦力後退、あ!!!一機こちらに向かってきます!」

レイよりもシオリが早くに反応した

「直援部隊!迎撃して!!」

レジェンドベル所属のボールの砲口が火を放つ、ボールに紛れて一機のガンタンクがいた。
、ジャブローに残されていた試作機の一つだが後方支援用として部隊に配備されていたのだ。

「ヒカリ、落ち着いて狙うんだよ。」
「うん、コウジ、了解、了解!!」

初陣ゆえの野別幕無しな砲撃にガルバルデイは四散した

「当たった?」
「やったネ!ヒカリ、」

しかしガルバルディの攻撃にボール部隊は一機を残して壊滅してしまう、

「一度戻るか、カスミさん!コトコと交代する、僕はジムに乗り換える」
「いいわよ、MSデッキ、コウジのジムを用意してちょうだい。」

ヘスペロスの中央にある作業デッキでは・・・

「サオトメ中尉、又アナタの機体はボロボロね、もっと大事に乗れない?」
「うぐぅ・・・」
「アナタ自信を改造しないとダメかしら。」
「・・・・・・・・」
「あの・・・中尉・・・」
「なにかしら?アサヒナ少尉」
「・・・・」

メカニックのチーフ、ユイナ・ヒモオ中尉は一瞬だけ優しい目をするといつもの様なニラミをきかせて

「サオトメ中尉、敵新型機撃墜と彼女を救出したことに免じて今回は多目に見てあげるわ」
「すまない・・・」
(この男には文句言うだけ疲れるわね・・・)
「ジムの右腕は組あがっている?その、中破したジムはC整備するから後回しよ!!」

ユイナは二人から離れて、忙しく動き回っているメカマン達の方へ体を動かした

「ヨッシー、待機BOXへ行こ、」
「あぁ」

二人はリフトをつかんでその場から流れた

ジュンとカズマが牽制をかけ、ユカリのビームサーベルが最後の一機、ペズンドワッジを沈めた。




「MS隊、全滅」
「練度の差だな、連邦にも腕の良いパイロットがいるようだ・・・
全スタッフをトラキアに乗船、この基地を放棄する」
「了解」




「艦長、ザンジバル級と思われる熱源確認、2バンチのあった区域です、」

オペレーターのメグミ・ミキハラ少尉の声がブリッジを流れ続けてミオが、

「2バンチはガスにより住民が全滅、人は存在していないはずです。」
「実験場にはもってこいね、サイド7と同じで。」

シオリが続く

「よし、ベルは外で待機、ウッドは反対側のベイブロックから、ヘスペロスはザンジバルの使ったベイブロックへ!
MSは先行して偵察、潜入の人選はフジサキ大尉にまかせる。」
「わかったわ」

「こちらコウ、以下4機は補給に帰還したいが、」
「OK、カガミ少尉、サワタリ准尉、発進、シジョウ中尉、MS隊の指揮をヌシビト大尉と交代。」
「こちらシジョウ、了解、ジム発進します。」

右のデッキかケイ・シジョウ中尉とミラ・カガミ少尉、トオル・サワタリ准尉、が発進すると
待機していたユカリ、ジュン、カツマ、コウは左のデッキに着艦した。

「全機の被弾状況チェック、プロペラントは9割、弾薬はFULLで、E−CAP充電開始、
大尉の機体は・・・何?!これビームによる小さい穴だらけじゃない、装甲一式用意しておいて!」
「そんなにひどいか?」
「出撃には問題ないけど、装甲の耐久値は半分ね、もうジオンにもビーム兵器が存在するのは大変ね」

突然アラートブザーが鳴る

「何だ?中尉、整備を頼む!!」
「それが私の仕事よ、」

待機BOXへ駆け込むコウ

「なにがあった?」
「トラップだ、ウッドの艦首がもぎ取られた。」
「ジュン、確かだな?」
「ああ、ハッチに爆薬が仕掛けてあったようだな。」
「補給は?」
「あと3分ってトコだな、」

「レジェンドウッド、聞こえますか?被害状況を教えて下さい。」

マイクに叫ぶサキに応信がはいった。

「こちらレジェンドウッド、アカギだMSデッキ損壊、現状での修理不能。MSは2機小破残存のみ。」

レジェンド・ベルより発進して偵察していたコウジは、

「ジュン、タクミ、ウッドに合流するぞ」
「わかった。」
「了解」




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